『凱旋門』 -エリッヒ・マリア・レマルクの小説による-⑥
9月2日 15:30開演 TOHOシネマズ日比谷
さて、最後の観劇はライブビューイングで観劇でした。劇場前に掲示されてなかったから写真がない(笑)
前回公演(ひかりふる路)の途中(結構後半)で雪組(と言うかあーさ)にハマった為、前回は満足行く回数を観劇出来ず、ライブビューイングも23区内では取れず、府中まで赴きましたが不完全燃焼感は拭いきれず。
今回はほぼ毎週チケットを取って、ライブビューイングもすぐに出待ち出来るように日比谷でチケットを取り、挑みました。
と言うか、TOHO日比谷でチケット取ると東京宝塚劇場の下で観劇することになるんですね(嬉しい誤算)
アングルの違い
公演中の舞台を生中継で繋ぐライブビューイング。自分の好きな方向にオペラを向ける生観劇と違って、視点は完全にカメラマン、並びにスイッチャーに委ねられます。故に、自分では注目していなかった所に向けられ、更に遠目では確認出来ない細部の装飾、表情にも目を向けることが出来ます。演者の細かい表情なんてかなり近い席取らないと見れないからね。(最前席でも奥の演者の表情はハッキリとは見えないと思う)なので、千秋楽にして新たな発見がたくさんありました。
第1場A プロローグ-金色の雨-
警官の灯りを灯したところでボリス(望海風斗)が動き出すことは前々回の観劇で気付きました。この灯りによってボリスが動き出すことは何か、物語が動き出すようでオシャレな始まり方ですね。好きな始まり方です。
そして、さすがライブビューイング。この場面で動く通行人や自転車に乗っている市民の顔まではっきり分かりました。今回気付いたのは花売り娘(野々花ひまり)が歩いていたこと。ひまりちゃん好きなのに今まで気づいてなかった~!!如何にプログラム読んでないことが分かりますね( ̄▽ ̄;)
第1場B プロローグ-たそがれのパリ-
ボリスの歌とラヴィック(轟悠)の語りで幕を開けた第1場A。第1場Bではラヴィックの歌(たそがれのパリ)、そして2番では登場人物ほぼ総出演で歌い始めます。
初観劇の時から思っていましたが、この曲2番の時にセットが回転するのが好きなんです。組子*1総出演、セット大回転。スケールが大きくて、「これぞミュージカル」って感じですよね。
ライブビューイングではそれぞれ関わりのあるカップルや家族、ビンダー(久城あす)とビンダー夫人(早花まこ)とオットー(潤花)、ゴールドベルク夫人(朝月希和)とヴィーゼンホーフ(縣千)が大きく映って、この役としてこの組み合わせを見るのも最後なんだなぁと思うと寂しくなりました。ヴィーゼンホーフとゴールドベルク夫人はいきなり不倫カップルで登場してくるのは何とも(^_^;)
もちろん、ハイメ(朝美絢)とユリア(彩みちる)の再会のシーンも大写し!!二人がお互いを見つけて抱き合うシーンもライビュのカメラはバッチリ捉えてくれました。
第3場A 雨の凱旋門-ビストロ-
この場面で印象的なのがバーテンを務めるたっちー(橘幸)。ラヴィックとジョアン(真彩希帆)に給仕しながらも、隣で歌っている市民のコーラスに歌い終わりギリギリで滑り込んで参加する所がツボ。一度しか来店していない客が前回頼んだカクテル、たばこの名前まで憶えている記憶力の良さもツボ(笑)とにかくたっちーがツボな場面でした。プログラム読んで気付いたけど、あのコーラスの指揮していたのはたわしくん(陽向春輝)だったんですね。まだまだ下級生は勉強中です(;^_^A
第3場B 雨の凱旋門-パリの街-
ラヴィック(轟)とジョアン(真彩)が「雨の凱旋門」で愛を歌い、ボリス(望海)が受け継ぎ、続いてハイメ(朝美)とユリア(彩)の「パリの屋根の下」で愛を歌う。二組のカップルの愛ですね。
ラヴィック&ジョアンはしっとりと愛を噛みしめるのに対してハイメ&ユリアカップルは幸せオーラ全開。この辺に今後の展望が見えてしまいますね。パリの屋根の下でちょこまか動き回りながら踊る二人がとても可愛いです。出会えて嬉しかったのかな?
第4場 オテル・アンテルナショナール
ハイメとユリアはそのままホテルへ流れ込みます。
気になるのはハイメとユリアの関係。ハイメは幼馴染と言いますが、いつになったら恋人になるんでしょうかね(ニヤニヤ)ハイメはスペインから亡命、ユリアはバイオリンに勉強しに来たということは、幼い頃スペインで二人は出会い、ユリアは勉強の為にパリへ行くことで離れ離れ。そこで内戦・紛争が起こり、ハイメがパリへ亡命することで二人は出会った。ということであればユリアもスペイン人?それに、元々お互い意識していなければ前場面であんなにもじもじしながら踊らないですよね?(ニヤニヤ)もうこの二人を主人公として新たに物語を作って欲しい!!
この場面は他にも亡命者の不安を歌った「オテル・アンテルナショナール」やボリス・ローゼンフェルト(永久輝せあ)・マルクス(煌羽レオ)三人による「酔いしれて」など、語りたい場面がたくさんあるのですが、語り出すとキリがないので割愛。酔いしれてのだいもん(望海風斗)の「飲むならウォッカ~」の歌い方が好きだったりする。マニアック…
第6場 ヴェーベルの病院
この場面からヴェーベル(彩凪翔)が出てきますがそれほど目立った場面はなく…
ラヴィックに手術をしてもらったケート(沙月愛奈)が退院する場面から始まりますが、あゆみさん(沙月愛奈)の貫禄が凄い…富豪のアメリカ人と言われて納得出来るほどのオーラがあります。手術はしたものの、手の施しようがない癌が付いており、結局直せず閉じてしまったとラヴィック。ケートの今後がどうなるか想像するとあまり明るい想像は出来ず、何だかやるせない気持ちになります。こんな綺麗な人に癌が付くなんて…
そしてその後、リュシリエンヌ(舞咲りん)が運ばれてきます。看護婦のマルト(笙乃茅桜)が「またあの産婆の失敗です」と言うのですが、私はずっと「産婆」が聞き取れず、「サンマ」だと思っていました(笑)だからずっとサンマの毒にでも当たったのかなと思っていたのですが、千秋楽にルサンク*2買って分かりました。「産婆」と言っていたのか!と。その話を母にしたら「いやいや、かいちゃん(七海ひろき)じゃないんだから〜」と笑われました(笑)*3文字で見ないと分からないもんですね。
第7場A 悪夢の影-パリの街角-
病院の場面から一転、ナチスドイツがチェコを攻撃したと言うニュースが飛び込み、混乱するパリの街角の場面です。
ヴィーゼンホーフの「オーストリーはナチスに飲み込まれた」というセリフに対して
「あのスペインの時もそうだった」とハイメ。
内戦で家族を亡くしたユリアは「皆がばらばらになっていく」と。
先程のアンテルナショナールで話していた境遇を思うと不安がより一層掻き立てられますね。ラヴィックとボリスもナチスに強制収容所が作られることに憤りを感じています。
とても不安が募るこの場面ですが、一つ解せない点が。不安が募るパリ市民のコーラス、憤るラヴィックとボリスのセリフ。不安が湧き上がるところで鳩のはばたきが聞こえるのですが、ちょっと無理やりすぎやしませんかね?(^_^;)私はこの場面、もう少し盛り上がるところを見ていたかったです。なんと言うか、曲の途中でブチッと切られたような感覚なんですよね。もう少し聞いていたかったのに〜!!って感じ。
とは言え、さすがこの公演の目玉の「いのち」。何重にも重なるコーラス、そして雪組子の気迫が感じられて、なかなかグッと来るものがありました。
次々に来る内戦に不安を感じる中、「それでも今は明日を信じて 信じて人は生きる」なんて言われたら心を掴まざるを得ない。最初に観劇した時は圧倒されて少し胸が苦しくなりました。
第10場 アンティーブにて
この場面でようやく雪組2番手彩風咲奈さんが出てきます。いや、ちょくちょく出てたけどまともに出てきたのがここというか…
ここの場面、凱旋門で唯一と言って良いほど明るい場面で、雪組子上級生から下級生まで色んな生徒が楽しそうに踊っていて見ていてとても楽しい場面です。特に、冒頭の真ん中で踊るアンリ(彩風咲奈)を奪い合う雪組のお姉様達の必死な顔が好きでした(笑)「アンリは私のものよ!」「あっ、ちょっと何で他の女と踊ってるのよ!」みたいな
第14場 死の鳥
娼婦であるあいみさん(愛すみれ)の歌で始まります。ここでも凄い存在感なあいみさん。
マルクス(煌羽レオ)とシュナイダー(奏乃はると)の蜜取引に繋がり、ゴールドベルグ(真那春人)の自殺シーンとなります。
黒い影がゴールドベルグを襲い、ゴールドベルグが首を吊って自殺するというシーンを表しているのですが、ここの表現が上手いと思いました。黒い影(役)がゴールドベルグを持ち上げ、まなはる(真那春人)がロープを両手で持って(エアーで)首を吊ってるように見せかけ、死んだと思われる瞬間に黒い影の支えがある前方で倒れ込みます。文字で表すのは難しいけど(^_^;)チアリーディングの技でありそうですね。
この黒い影ですが、あやなさん(綾凰華)、しゅわっち(諏訪さき)、眞ノ宮くん(眞ノ宮るい)と何気に若手でもそこそこの方達がやってたんですね。新公では結構良いポジション貰ってる人達。プログラム読んで初めて知りました。
第15場 ゴールドベルグの死
ゴールドベルグの死を知ったアンテルナショナールの面々の場面です。
ゴールドベルグ夫人(朝月希和)が悲しむ中、ヴィーゼンホーフ(永久輝せあ)は「こういう時に言う話じゃないけど」と言って溜まってた部屋代をフランソワーズ(美穂圭子)に渡します。
千秋楽ではフランソワーズが受け取ろうとするも、ヴィーゼンホーフが中々お金を離さず、ちょっと取り合いになってましたね(笑)ひとこさんのこういうところ好き(笑)
お金を受け取り、フランソワーズは「ああ忙しい、誰かしっかりした人は(ちらっとヴィーゼンホーフを見る)はいないかしら」と言うのですが、千秋楽に近づくにつれてこのチラッとヴィーゼンホーフ見るのがどんどんあからさまになってきたような気がします(笑)こういう変化を楽しむのも複数観劇の醍醐味ですね。
第18場 暗いパリ
シュナイダーへの復讐を果たした後の場面です。
前の場面で黒い衣装で踊っていたあーさ(朝美絢)ですが、ここの場面でも最初から出ています。マルクスと娼婦の場面を挟んでいるとは言え、かなりの早着替えですよね。
後、前場面で踊っていた娼婦の姐さま達(千風カレン・愛すみれ・沙月愛奈・笙乃芽桜・華蓮エミリ・沙羅アンナ)エロすぎ…
美穂さん(美穂圭子)の歌に合わせてあーさ(朝美絢)がギターを弾き、みちるちゃん(彩みちる)がバイオリン(を弾くフリ)をします。みちるちゃんの手の動きが上手すぎて。「これはガチで習ってたやつだな?」とか思いながら見てました。
そうしているうちにボリスとラヴィックが現れ、復讐の事後の話をしているとアンリ(彩風咲奈)が慌ててやってきます。
アンリ「今すぐジョアンのところへ行っていただきたいのです」
ラヴィック「うん?なぜ」
アンリ「あの人が怪我をしたのです」
ラヴィック「ほお?どんな怪我です?」
アンリ「・・・ピストルで撃ってしまったんです」
ラヴィック「ジョアンが自分で?」
アンリ「いえ、撃ったのは・・・私です。あの人は死にかけているんです。」
いやいや、死にかけてるんなら「ジョアンが死にかけてるんです!助けてください!」ぐらい言えよまどろっこしいなぁ・・・。ここの場面、アンリにイライラしながら見てました。もちろん役としてね(笑)
しかも、ジョアンのもとへ向かう途中も
「撃つつもりじゃなかったんです、なぜ、あんなことになったのか・・・聞いてください!・・・私は・・・自分がしたことが信じられない!」と言い訳を。
いやいやこんな所で君の言い訳を聞いてる時間ないし、そんな言い訳してる間に死ぬかもしれないじゃん。しかも銀橋なんて狭いところで話してないでいいから早く進んでくれって話ですよね(セットの問題w)
ただ、唯一アンリのえらい所はちゃんとラヴィックに報告に来たところですね。DV男なら隠蔽でもしそうな気がしますが(偏見)、隠さずにちゃんと報告に来たところは褒めてあげたいなと思いました(何様)
第19場 ジョアンの死
タイトルの通り、ジョアンは死にます。(あっけない)
知らせを聞いて駆けつけたラヴィックとボリス、アンリとヴェーベル(彩凪翔)。ジョアンは寝椅子に横たわっています。ラヴィックの診察中にも言い訳するアンリ。
「撃つつもりじゃなかったんです。あやまちです。少しも撃つつもりじゃなかったんです。けれど彼女の心があなたにいってしまったかと思うと…ジョアン、許してくれ」
「完全にあなたの所へ行ってしまっているんです。そんなことは許されない、二人の・・・ジョアンとの仕事も未来も台無しになってしまう!」
言い訳長いわ!笑
自分のものにならないと分かったら撃ってしまうってなかなか怖い男ですね(^_^;)
まあでも、思わせぶりなジョアンにも悪い所はありますね。ラヴィックの帰りを待てなかったのも悪い。だからと言って撃ったことは許されないですが。この場面は最高潮にイライラしてました(。-_-。)
アンリはヴェーベルに退場させられ、ラヴィックとジョアンの二人きりになって処置を施します。処置を施しながらも手の施しようがないことを悟る二人。苦しみながらも何度も感謝の言葉をのべるジョアンが切ないですね。「君を苦しめたくない」と言って苦渋決断で注射(多分即死するやつ)を打つラヴィックも切ないです。
このジョアンが亡くなる場面は何度も泣かされてしまいました。
第20場 闇に沈む凱旋門〜いのち
最終場面です。ボリスに旅券を渡されるラヴィックですが、受け取らず、ハイメに渡してしまいます。
そして、アンテルナショナールに戻ると既に警官がアンテルナショナールに住む人々を連行する所でした。
ヴィーゼンホーフはゴールドベルグ夫人を追って同じく収容所へ。ローゼンフェルトはゴッホの安全の為に収容所へ。そして、ラヴィックも同じく収容所へ連行されます。愛する人と共にする為、大事にしている絵の為、家族が離れ離れにならない為…。皆収容所なんか行きたくないのに、誰かの何かの為に収容所に行くことを選びます。決して自分の為じゃない所にやるせない気持ちが湧き起こりますね
「戦争が終わったらまたフーケで会おう」と約束するボリスとラヴィック。
「さあ、こっちだ」と手を伸ばすボリスに「いやだなあ、ロシア式の挨拶は」「男のキスは嫌なんだよ」と言いつつ受け入れるラヴィック。フーケで会える見込みなんてほとんどないのは分かっていて、躊躇しつつもハグ&キスを受け入れるラヴィック。ああ、もうホント全部が切ない!
そしてラヴィックは「名前はラヴィック、外科医。旅券なし。」と名乗り、連行されます。
連行される中、ラヴィックは立ち止まり、鳴り響くジョアンの声。
「うれしいわ…生まれ変わった日のしるしね、幸せ…。あの凱旋門が証人よ!」
ラヴィック「灯火管制か、あまりに暗くて凱旋門も見えない」
音楽「いのち」
ラヴィック
「届かぬ叫び やりきれぬ思い
それでも光 求め
密かな望み 自由を信じて 信じて人は生きる」
と歌い上げ、舞台を去ります。
雪組子
「輝く心 明日を信じて
信じて人は 生きる
Ah Ah Ah Ah-Ah-Ah-」
ラヴィックが去る時には客席から大きな拍手湧きます。
最後の方こそ慣れてしまいましたが、初めて観劇した時、私は自然と拍手が漏れました。多分、皆そうだったと思います。だからこそ、初観劇から千秋楽まで拍手がなかった日はなかったんだと。*4
何となくですけど、もしかしたら、理事(轟悠)の最後の大劇場主演なのかなと感じてしまいました。ラヴィックの引き際を理事の最後と重ね合わせてしまったんですよね。理事がトップを務めた雪組だから、という所もそう感じさせてしまいます。
実際の所は分かりませんが、何とも感動していまいました。
次に向けて
さて、凱旋門は公演を終了しました。理事は次の主演公演が決定し、雪組子も間もなく次の公演の集合日*5を迎えます。私個人的としては、まだ公演(凱旋門)に浸っているところですが、雪組生はもう次に進みだしていると思うと少し寂しさを感じますね…。しかし、集合日までの一週間、十分凱旋門に浸って集合日を迎えた後は私も一緒に次の公演、ファントムに浸れたら良いなと思います!
凱旋門/Gato bonitoのブルーレイ・DVDは9月30日発売!
ステマじゃないよ(笑)