想い徒然

ほぼ観劇記

【宝塚OG】ヴェラキッカ

ヴェラキッカ

1月20日 13:00開演 東京建物Brillia HALL

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今年初めにして今年一かもって舞台に出会いました。

最初からめちゃくちゃハードル上げますがホントに良かったんですよこれが!!

 

世界観

TRUMPシリーズと呼ばれるヴァンパイアの世界の物語。なので、「イニシアチブ」だとか「繭期」だとか用語を知らないと最初はついて行くのに苦労するかもしれません。私はこのシリーズは7年前に「LILIUM」を動画で見たきりだったのでちょいちょいストーリーを忘れてました😅*1

脚本・演出の末満健一さんが作り出す世界は物語の中に何かしらのカラクリがあるのでもう一度見たくなるんですよね。今回もちゃんとカラクリはありました。(後述)

 

歌唱力エグい

世界観に浸ったのはもちろんですが、驚いたのは全員歌上手すぎ

宝塚外部の舞台を見るとその歌唱力の高さに驚くことは多々あるのですが、中でもあゆっち(愛加あゆ)ってそんなに歌うまかったの!?ってことにびっくり。

あゆっちこと愛加あゆさんが宝塚トップ時代は最後の退団公演を一度しか見たことが無いので、あゆっちのことはあんまりよく知らなかったんですよね😅 お姉さんはあんまり歌の評判良くないし(小声) だから、あゆっちの歌の上手さには驚きました。

でも、それだけじゃなくて平野綾さんも松下優也さんもその他のキャストの皆さんもホントに歌上手い!!誰一人として歌唱力に難がある人が居なくてびっくりしました。

美弥ちゃん(美弥るりか)は歌うまと言われた人では無かったけどこの歌唱力の高さについてってるの普通に凄いわ💦*2

歌うま至上主義では無いけど惚れ惚れするぐらいみんな上手かったので、この舞台のクオリティを更に上げている要因の一つだなと思いました。

 

ネタバレ

※ここから先はネタバレを大いに含んでいます。

ヴェラキッカの世界では、繭期の少年少女達は当主であるノラ(美弥るりか)のことを愛さなければならないという家訓に従い狂うほどに愛します。ある時、ジョー(愛加あゆ)はカイ(古屋敬多)が好きだということに気付きますが、カイ(古屋)を好きな気持ちとノラ(美弥)を愛さなければならないという家訓に葛藤します。そして、ジョー(愛加)はこんなにもノラ(美弥)を愛しているのはノラにイニシアチブ*3を取られているのではないかと疑い始めます。

時を同じくしてクレイ(大久保祥太郎)マギー(斎藤瑠希)は繭期の症状を押さえる為に飲んでいる薬をわざと薬の服用を止めてノラ(美弥)の気を引こうとします。薬の服用を辞めた2人は狂いだし、やがて愛ゆえにノラ(美弥)を殺そうと画策します。

というところで一幕が終わります。

 

結果として、ノラ(美弥)はこの世に存在しないもので、全てはシオン(松下優也)がヴェラキッカ家に来た全ての吸血種のイニシアチブを取って「ノラを愛するように」という命令の下に起こした共同幻想

そもそもの発端は元々の当主(ノラの父)の死から始まります。当主が亡くなったので次の当主はノラとなりますが、ノラの父が新しく迎えた妻(カイの母/ノラにとっては義母)はカイを当主にする為、ノラを幽閉してしまいます。そこでお世話をしていたのがシオンとウィンター(西野誠)とロビン(宮川浩)。特にノラと年の近いシオンは柵越しにノラの話し相手となり、いつしかシオンはノラに心惹かれるようになりました。いつか外の世界を見てみたいと言っていたノラの思いがもう少しで叶うというところでノラは衰弱死してしまいます。ノラを助けられなかった後悔に苛まれたシオンは苦しみます。そして、「誰かに愛されたい」というノラの願いを叶えるごとく、周りの人々のイニシアチブを取って「ノラを愛するように」と命じるのでした。(大分端折ったけどこんな感じ)

 

いやぁ、この結末を聞いた時には驚きましたよ。

ノラ(美弥)がイニシアチブを取っていたという単純な終わりにしないのが末満さんだなぁと。いや、リリウムとそのスピンオフ見たぐらいで末満さんの何を知ってるんだよって話ですが😅

 

そして結末が分かった時、カイ(古屋)がシオン(松下)のイニシアチブを掌握する為に嚙みつきます。そして、「ノラにもう一度会って愛すように(ニュアンス)と命じます。

イニシアチブを掌握する側なので、シオンはノラの姿が見えていなかったのですがここで命じられることによってノラと会うことが出来ました。(もちろん幻想ですが)

この、幽閉されていた門をシオンが開いてノラの手を取るシーンがもう泣けるの何のって😭私はここでもうひと悶着起きるのではとハラハラしていたのでその分良い意味で裏切られましたよ😭

 

よくよく考えたらシオンは皆が周りで踊っている中、一人で何か書いたり本を読んでるんですよね。ただのクールな人かと思いきや、見えてないから参加出来なかったのか!というカラクリに気付き二度目も楽しめました。そう言えばノラとシオンって会話もしてないんですよね。

 

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ストーリーといい歌といい歌唱力といい完璧!

今年はなかなかこの作品を抜くことは出来ないんじゃないかとすら思います。

 

*1:その後リリウムの主人公リリーによるスピンオフは見たけどあれは短編の朗読劇とちょっと形態が違うので除外としてます

*2:キーが美弥ちゃんに合ってたっていうのもあるかもしれないけど

*3:TRUMPシリーズ独自の用語。噛んだ吸血種は噛まれた吸血種を意のままに操ることができます。